令和5年10月1日よりインボイス制度が始まります。
主に免税事業者(消費税申告しない方)の個人事業主の方は要注意です。
最悪の場合廃業になるリスクがあるからです。
この記事ではこれから備えてる対策についてわかりやすく解説します。

この記事を読み終わられたら、最後にインボイス制度関連記事へのリンクを設けています。
あわせてご覧いただき、インボイス制度への理解を深めてくださいね。

確認する3つのポイント

個人事業主の方がインボイス制度が始まる前に確認すべきポイントは3つあります。

  • 売上先との取引確認 
  • 仕入先との取引確認
  • 消費税の計算方法の確認

それでは具体的に3つのポイントについて説明します。

売上先との取引確認

インボイス制度開始後の一番大きな影響は
商品・サービスを購入する側の事業者において消費税の計算方法が変わることです。

購入する側の事業者は現状
課税事業者(消費税申告をする者)、免税事業者(消費税申告不要な者)の
どちらと取引しても消費税申告の計算上、消費税金額を差し引くことができます。

例:110,000円(税込)の商品・サービスを購入したとき、10,000円(消費税)を差し引くことができます

しかし、インボイス制度導入後
免税事業者との取引は最終的に差し引くことができなくなります。
つまり例に挙げた10,000円分が購入する事業者が損します。

したがって今後起こりうる事態は3つ想定されます。

  1. 取引は変わらない
  2. 取引廃止縮小
  3. 取引金額値下げ

もう現在(将来も)課税事業者の方は、すでに消費税申告をされていますし
インボイスの登録事業者になる手続きをするだけでとくに影響はありません。

問題は免税事業者の方です。

制度導入後も免税事業者の場合は、購入してくれる事業者に損をさせることになります。

そこで免税事業者のままか、課税事業者(インボイス発行事業者)になるか選択を迫られます。

つまるところ売上先の方針により選択は異なりますが
おおむね次のような考え方になります。

B to C(消費者が商品・サービスを購入してくれる)⇛免税事業者のまま

例)美容室、クリニック、スーパー、ホテル、飲食店(接待なし)、大家(居住用賃貸)、ネイルサロンなど

B to B (法人や個人事業主が商品・サービスを購入してくれる)⇛課税事業者を選択

例)士業、コンサル、製造業、卸売業など

事前に売上先と方針を確認すること(想定すること)が望ましいです。

仕入先との取引確認

続いてご自身が課税事業者の場合
同様に商品・サービスを売ってくれる事業者が免税事業者であれば
インボイスを発行できないので、ご自身が消費税計算において損をすることになります。

そのため同様に取引をどうするか(現状維持、廃止・縮小、値下げ)
を検討する必要があります。

※ご自身が免税事業者のままであれば、関係ありません。

ただし、消費税の計算方法として「簡易課税制度」を選択する場合は
インボイスは必要ありません。

取引先との交渉や経理業務、消費税計算の煩雑さを避けるのであれば
この計算方法を選択するのが良い選択肢といえます。

次にこの計算方法について説明します。

消費税の計算方法の確認

消費税の計算方法は、2つあります。

原則課税簡易課税です。

おすすめは簡易課税ですが
原則課税を選択する方が納税額が少ない場合もあります。

詳しくは最後にリンクを設けておりますので
ご参考にして頂ければ幸いです。

補足

では実際に取引先との条件を見直す場合はどのような点に注意すればよいのでしょうか。

公正取引委員会が発表したQ&Aによると

どのような条件で取引するかは、当事者間の自主的な判断に委ねられるとしていますが
「優越的な地位の濫用」になる行為に注意が必要としています。

具体的には次のようなケースです。

  • 交渉が形式的で買手の都合で一方的に著しく低い価格を設定する
  • 仕入先が免税事業者であることを理由に商品・サービスの受取拒否・返品
  • 協賛金等の負担を強制する
  • 免税事業者の取引先に商品・サービスの購入・利用を強制する
  • 著しく低い価格を設定し、応じない場合に取引を停止する
  • 課税事業者(インボイス発行事業者)にならない場合は、取引価格引き下げなど一方的に通告する

まとめ

以上、インボイス制度で個人事業主が廃業しないためのポイント3選について説明いたしました。

  • 売上先との取引確認 
  • 仕入先との取引確認
  • 消費税の計算方法の確認

この記事がご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

投稿者プロフィール

門脇頼介
門脇頼介
ひとり経営専門コンサルタント/税理士 門脇頼介
関西学院大学商学部卒。
かどわき会計事務所代表。1990年生まれ、神戸在住。

無職のまま大学を卒業してしまう。就職に苦戦し何とか入社した税理士事務所でも、全く戦力にならず途方に暮れる。

積極的に手を挙げることで徐々に仕事が出来るようになる。また税理士試験も順調に合格することができ、お客様に感謝される機会も増え社会人として充実する。

怒号が響く、所長の機嫌に右往左往する職場環境で転職するが、転職先でも採算が合わない、相性の合わない顧客との対応に苦慮する。また急速な拡大を目指す組織では従業員の退職が相次ぎ、職場環境が悪化するのを目の当たりにし、違和感を覚える。

その後独立開業する。組織のしがらみに囚われない、規模の拡大を目指さないが、仕事もプライベートも充実させる生き方を目指している。ひとり経営者の支援に特化しており、日々奔走中