こんにちは!ひとり経営専門コンサルタント/税理士の門脇です。

先日国税庁が気になる意見公募をしていました。
国税庁|「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案) (雑所得の例示等)に対する意見公募手続の実施について

主に副業をしているサラリーマンの方が対象です。

今回はこの改正について解説します。

改正の背景

今までの問題点

本業がサラリーマンの方が副業をしている場合で
副業を「事業所得」として申告することで
本業の給与所得と赤字の事業所得を相殺し、税金の還付を受けるケースが増え
問題となっていました。

また「事業所得」として申告することで得られるメリットは

  • 10万円、55万円、65万円の特別控除(利益から別途差し引くことができます)
  • 損失を3年間繰越しできる
  • 損失を前年の黒字と相殺し還付を受ける

などございます。

参考:国税庁|No.2070 青色申告制度

事業所得と雑所得の判断はあいまいな部分もあったため
国税庁は通達(税務判断の指針)を改正することで
こうした所得の範囲を明確化することになったようです。

改正の内容

事業所得」と「雑所得」の判定についてざっくり言うと

副業でその売上が300万円以下の場合は「雑所得」として取り扱う。

こととなります。

参考:所得税基本通達新旧対照表

雑所得」は「事業所得」と違い
本業の給与所得と赤字の事業所得を相殺し、税金の還付を受けることはできません。

事業所得として認められるのはどのようなケースになるか検討してみます。

事業所得として認められるには

副業ではなく本業である

事業所得とは明確に定められていませんが
過去の裁決ではこのように判断されています。

自己の危険と計算において独立して行う業務であり
営利性・有償性を有し、かつ、反復継続して業務を遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるものであると解される。

そして、ある所得が事業所得に当たるか否かを判断するに当たっては、
当該所得が社会通念上「事業」といえる程度の規模・態様においてなされる
営利性、有償性、反復継続性をもった活動によって生じる所得か否かによって判断すべきであり、
この場合において「事業」といえる程度の規模・態様においてなされる活動といえるかどうかは、自己の計算と危険においてする企画遂行性の有無、その者の精神的肉体的労務の投入の有無、人的・物的設備の有無、その者の職業・経験及び社会的地位等を総合的に勘案して判断すべきである。

https://www.kfs.go.jp/service/JP/96/03/index.html

ざっくり言うと
継続して事業をしている、責任を負っている、事業に対して投入している労働時間や
雇用、設備投資の有無などによって判断することとなります。

その事業で生活をしている、本業としての活動であると認められる事業でないと
事業所得」として認められるのはそもそも難しいと考えられます。

売上300万円を超える

一つの指針として「収入金額が300万円を超えているか」という目安があります。

300万円を超えれば必ず「事業所得」でOKではありませんが
超えるべき基準となります。

不動産賃貸収入や給与の場合は?

副業といっても様々な形があります。

所得税ではその種類によって10種類所得に分類されます。
参考:No.1300 所得の区分のあらまし

例えばこのように分類されます。

  • 不動産賃貸収入→不動産所得
  • 株の配当収入→配当所得
  • 株式を売却した→株式譲渡所得
  • 2か所目の給料→給与所得
  • 不動産を売却した→譲渡所得
  • 懸賞金→一時所得
  • 退職金→退職所得

分類できないものは「雑所得」になります。

つまり、不動産賃貸収入や2カ所目からの給料はそれぞれ
不動産所得、給与所得になるため、今回の改正の影響はありません。

まとめ

副業と言ってもさまざまで
事業所得と雑所得の判断は難しい部分がありました。

今回良くも悪くも一つの指針ができました。

SNSなどで開業届出を出せば経費でOKといった
無責任な発信をしている方もいますが

税務の判断において、形式面だけを満たせば
認められることはなく、実態についても重要です。

節税をすることは大事ですが、囚われ過ぎないように気を付けたいものです。

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投稿者プロフィール

門脇頼介
門脇頼介
ひとり経営専門コンサルタント/税理士 門脇頼介
関西学院大学商学部卒。
かどわき会計事務所代表。1990年生まれ、神戸在住。

無職のまま大学を卒業してしまう。就職に苦戦し何とか入社した税理士事務所でも、全く戦力にならず途方に暮れる。

積極的に手を挙げることで徐々に仕事が出来るようになる。また税理士試験も順調に合格することができ、お客様に感謝される機会も増え社会人として充実する。

怒号が響く、所長の機嫌に右往左往する職場環境で転職するが、転職先でも採算が合わない、相性の合わない顧客との対応に苦慮する。また急速な拡大を目指す組織では従業員の退職が相次ぎ、職場環境が悪化するのを目の当たりにし、違和感を覚える。

その後独立開業する。組織のしがらみに囚われない、規模の拡大を目指さないが、仕事もプライベートも充実させる生き方を目指している。ひとり経営者の支援に特化しており、日々奔走中